結局昨日はあのあと、沖田さんと二人でお茶屋で団子とお茶をたしなんでいたところ、オフを楽しんできた(であろう)土方さんに見つかって怒られた。(ちゃんと私服姿だったよ!)
お茶屋で二人して正座させられました。
沖田さんは途中から寝てました。
この人現代に居たら凄く授業中居眠りのうまい高校生になってたよ!多分。
ああでも沖田さんならわざとあの有名なアイマスクつけて寝るかも。
で、教師激怒させるかも。
きっとそうだ。
・・・・・・っておもむろに取り出しちゃってるよォォォ!!!
ああああ装着しちゃった!
土方さんも気づけよ!
「隊長としての責任感が」うんたらかんたら
「大体お前は総吾の見張りだろーが」うんたらかんたら
「この間の器物破損の」うんたらかんたら
何故沖田さんに対しての説教もあたしが受けなければならないのだ。
そして説教が大体終わったころに沖田さんはふああ、とあくびと伸びをして目を覚まし、
「オフの日ぐれェ心穏やかに過ごしゃあいいものを・・・・・・モテねー男はコレだから困りまさァ。な、
?」
あたしに振られましてもォォォ!!!
はは、と掠れた声で笑うしかない。
土方さんはおめーも彼女いねーだろーが、と若干自信なさげに言う。
「俺には
が居まさァ」
沖田さんがあたしに抱きつく。
顔だけは妙に真顔だからタチが悪い。
ボケは真顔でやるもんだという基本をきっちり押さえてるね!
・・・・・・そんなことはどうでもいいのだが。
こう、さすがに、バレないもんだろーか。性別。
あたし特別に鍛えたりしていないのですが。
不安に思って沖田さんの顔を覗き込むと、にやりと笑われた。
「やっぱり坊ちゃんは貧相ですねィ・・・・・・俺が稽古つけてやるから体鍛えやしょう」
あ、それは嬉しいかも。
ちょっと皆に付いていけないことが時折あるわけでね、運動オンチであるがゆえに。
沖田さんに鍛えてもらえばちったァましになるかもしれないですよね。
人を鍛える暇があるなら仕事しろ、と土方さんはまた説教モードに入り始め、でもやっぱり鍛えてもらいたいです、と優等生風に言ってみたらそうだなじゃあ暇な隊士に頼め、と言われた。
それなら沖田さんがいいです。
「全く土方さんはマヨネーズみたいにネチョネチョネチョネチョしつこいですねィ」
マヨネーズはネチョネチョしてねェェェ!!!と若干ズレたところにキレた土方さんによって市中見回りの組み合わせが変えられた。
すなわち、今に至るわけだ。
今日はあたしは土方さんと真面目な市中見回り。沖田さんは屯所詰め。
沖田さんが相当ボヤいていたから、みかねた近藤さんあたりがすぐにもとの組み合わせに戻してくれると信じてる。
でも、今まで不真面目な溜まり場回りしかしてなかったから(まあある意味効果的かもしれないけど。ホラ、青少年の非行を防ぐ、とかなんとか。)、ちょっと楽しみだ。
天気もいい。青い空見上げて、そのまま深呼吸して、今日はどこで遊ぶんですかといつものように聞こうとして、そうか今日は仕事だったと口をつぐむ。
その時、
「あら、多串くん、デート?な訳ないかー。多串くんだもんねー」
妙に聞き覚えのある声がした。
「・・・・・・んのヤロ」
土方さんが低く呟く。あたしは怖くてそっちに目を向けられない、と、いうか、視線が降ろせない、ので、空を見上げたまま、くるっと土方さんの背中に回ることにしました。
「
?」
土方さんは訝しげにあたしの苗字を呼んだ。
あたしの目の前には屯所の門。隈無清蔵さんが現在進行形で掃除をしていた。
そのほかに何か特別なものは何もなくて。
ただあたしの背中の黒い人の、目の前に居るはずの白い人の存在が、あたしの心拍数をおかしくさせる、んだ。
「アレ、多串くん、その子」
「何だよ」
「・・・・・・ちょっと貸してくれない?」
「あ?」
あ?という土方さんの声とともに、あ?と思ったけどもう遅く、気づいた時には銀さんに手首を掴まれ、通りを走っていた。
オイ
サボるなァァ!!という土方さんの怒鳴り声に、それなら助けてくれと内心で叫び返し、前を走る銀さんの後頭部を眺める。
この人は何を考えてるんだろう。
モドル