正直コレはないと思いました>土方さん
鼻をぐずぐず言わせながら近藤さんが取り出してきたのは一式の隊服。


くん、これを「イヤです」・・・・・・そんなにトシが嫌いかァァァ!!」


どうやら土方さんのお下がりだったらしい。
『ちょっと傷ついた顔』をしてる土方さんがムカつく。

・・・・・・そうじゃなくて!えっとあたしは土方さんが嫌いなわけではなく!


「さっきの話、ちゃんとお聞きになってました?俺は隊士志望じゃありません」

「あ、そっちね」


ほっ、と胸を撫で下ろす局長。
ちっ、と舌打ちする隊長。笑える。


「隊士と間違えられて攘夷志士に向かってこられたりしたらどーすんですか。一発で殺されて終わりですよ」


よくて捕虜。あたしなんかが囮にされても近藤さんは助けに来てくれるのだろう。迷惑は、掛けたくないもんなあ。

しーん、となる一同。まあ皆さんは剣の腕も運動神経もいいから、考えたこともないんでしょうけどね、そんなこと!
土方さんが哀れんだ顔をしてるのがムカつく。くそぅ。


「うん、トシはこのごろ不精して休みも隊服しか着てないけどね、(ちゃんと着とるわァァ!と土方さんが叫んだ)若い頃は普段着も持ってたからね」


俺ァまだ若ェよ!という土方さんのつっこみをスルーしつつ近藤さんがどこからともなくもう一式を出してきた。
最初からソレを出してくれたまえ。



紺の袴、藍の羽織、あとよくわかんないけどアレだ。

・・・・・・いやぁ。

・・・・・・これは。


「新」撰組隊服!?



何でこんなのを普段着にしてたのトッシー!!!

・・・・・・あ、トッシーだからか。うん。

コレを着るんですか。あたしは。凄く恥ずかしいんですけど。うん、コスプレみたいで。
イベントの会場みたいで。うん。


「そんなに土方のが嫌なら俺の貸しやしょうか?」

(バレてたァァァァ!!!)


あ、またトッシーが『ちょっと傷ついた顔』してる。あはは。

・・・・・・じゃなくてェェェ!!!


「いやいやいやいやいやいやいやいや全然嫌なんかじゃっ」


いやが多いですぜィと面白そうに沖田さんが言う。


「そんな・・・・・・『これを着なきゃ死ぬんだ』みたいな顔しなくても・・・・・・」


ぷ、と笑いながら山崎さんが言う。
トッシーが本格的にスねはじめる。可愛い。
沖田さんが声も出ない爆笑をしている。

そして今の発言をした山崎さんは、・・・・・・山崎さん?・・・・・・アレ?


(や、山崎さまァァァァ!!!)


あ、危ない、あやうく叫ぶところだったじゃないか。

一拍置いてあたしたちの驚きの視線が集中した山崎さんはひょい、と肩をすくませて、


「みんなが偵察してこいって言うんです・・・・・・」


と申し訳なさそうに呟いた。


「山崎ィィィ!!!」


当然の如くキレる土方さん。
ざらり、と抜かれた刀にビビった。

やっぱり一般人には土方さんは公害だと思いました。




んで、なんだかんだあったのに、結局土方さんのお下がりはあたしには大きすぎ、沖田さんの今の服も大きすぎ、沖田さんのお下がりに落ち着いた。

皆が一様にそんなに小さくはみえないと頭をひねっているのが可笑しかった。(山崎さんは僕より小さいと喜んでいたけど。)



モドル