これはこのごろゲームしてなかった報いだろうか


ひゅー


・・・・・・落ちる落ちる。



ねぇ、こういうのってさ、こう、なんつーか、ふわふわ落ちるもんじゃねーの?

アりスみたくさ。



どこまでもどこまでも、みたいな。

あれ?止まらないな、みたいな。





・・・・・・思いっきり加速してるんですけどォォォォォ!!!!!

やばい、コレはやばいって!地面に着いた時は死ぬ時だって!

物理で習った公式が頭に蘇っていっそう恐怖を煽る。



死にたくねェェェェェェ!!!!



このまま銀さんにも会えないで死ぬなんて嫌だァァァァ!!!!

せめて空知さんには会いたかった!
せめてなんて言ってすみません!
空知さんにもお会いしたかった!!



下が見えない恐怖!
底はいづこに!?




「っギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




あたしは人生最大の叫び声を上げ・・・・・・て力尽きた。

というより、キャパが尽きた。



もうこの事態、あたしでは受け入れられません。





・・・・・・ぼよーん


完全に脱力したあたしの体を、なんかやわらかくてふわふわしてて弾力のあるものが跳ね返す。


(ピンボールかァァァ!!)



跳ね返されてゆっくりと上昇するあたしの目に、先程まで自分が落ちていた穴の壁の、沢山のドアがうつる。


なるほど、これは、このドアのどれかに入れないと、アレだな。




ゲームオーバーだ。





ぞーっとする考えが頭によぎり、しかし多分そうだと確信する。




(行け!あたし!!)


あたしは空を蹴って、何百とあるドアの一つ、銀色に輝くドアに飛びついた。


なんでか?



・・・・・・縁起いいから。







銀のドアの金色のノブを見下ろすと、これはもう開けるしかないでしょー、と思う。

背後には暗い穴。



大丈夫だと自分に言い聞かせ、何が大丈夫なんだと自分に突っ込みながら、金色のノブを思いっきり回した。

 




 

モドル