私が和喜さん(あっちの人)に捧げつつキラキラ恋し様に提出させていただいた夢に、BLをこよなく愛す『あっちがわ』住人の和喜さんが(『仙蔵とくっつけたい!』と言って)夢を書いてくれました!
一応夢小説ですが、主人公の名前は出てきません。ぜんっぜんそれっぽい描写はないですが、BLに全く免疫が無い人は読まないようにしましょう(笑)
和喜さん本当にありがとう!私のよりずっと可愛い妹と、ずっと可愛い仙蔵をありがとう!文次郎の素敵さは世界共通!












「ただいまー」
玄関を開けて、兄の靴の他にもう一足男物の靴があるのを確認した私は、急いで二階への階段をのぼる。 兄の部屋のドアを予告なしに開くと、瞬時に顔をしかめた兄と、驚いた表情の潮江さんがいた。

 「潮江さん、ただいま」
「え。ああ、おかえり」
途惑いながらも、言葉を返してくれる潮江さん。
やっぱ、可愛すぎ!
 そのまま潮江さんの横に陣取ると、兄は元々吊り上っている目をもっと吊り上げて、 「勝手に入ってくるな。出て行け」
と命令した。
そんな命令、誰が聞くもんですか!
潮江さんにぎゅっと近寄ると、
「別にいいじゃねぇか、仙蔵」
そう優しくフォローしてくれた。
「よくない。大体お前は家に勉強しに来ているんだろう。そいつは邪魔になるだけだろうが」
「邪魔だなんて、お兄ちゃんひどい!」
めいっぱい傷ついた表情をすると、兄はぐっと口ごもった。


 結局、兄と私の対決は今日も私の勝ちで、私は兄の部屋に居座る権利を手に入れた。
「仙蔵、この問題なんだが、どうやったらこの文章からこの答えが導き出せるんだ」
「これはだな、まずこの指示語の内容が前の文のこれで・・・」
真面目に勉強する潮江さんの隣で、私はとりあえずノートと教科書を広げて宿題するふりをして、ちらちらと潮江さんの方に目を遣る。
潮江さんは数学とか化学とか、そういう計算系には強いんだけど、国語みたいにちょっとしたニュアンスに左右される教科は苦手だ。
そこで、うちの兄はこれ幸いとばかりに、国語を教えるという口実で、潮江さんをしばしば家に連れてくる。
まあ、私も潮江さんに会えるから、それはいいんだけど。
でも、兄ばっかりが潮江さんを独占するのには我慢ならない!!


 「お兄ちゃん、冷蔵庫にプリンあったよね」
兄はめんどくさそうに私の方に視線を向けて、頷いた。
「潮江さんに出してあげないの?」
プリンという単語が聞こえたときから目を輝かせていた潮江さんは、私の言葉で兄にものすごく期待に満ちた眼差しを送る。
兄はすごい形相で私を睨んだあと、ちょっと待っていろ、と潮江さんに言って、部屋を出ていった。


 「潮江さんはなんで、うちの兄と仲良くしてるんですか」
潮江さんと二人きりになることなんて滅多にないから、私は思い切ってこんな時じゃないと訊けないようなことを訊いてみた。
「うちの兄って、はっきり言って傲岸不遜だし、めちゃくちゃ付き合いづらいでしょ?」
私がそう言うと、潮江さんは苦笑いして、
「確かにそうだな」
と言った。私は大きく頷く。そしたら、潮江さんはちょっとためらって、
「でも、なんだかんだいって面倒見いいし、面白いヤツだから、付き合ってると結構楽しいぞ」
と照れくさそうに続けた。
え、えええええええ!?
私は絶句してしまった。


  だって、兄はあんなに我が侭で、偉そうで、ムカつく性格してるのに、潮江さんはそんな兄と友達でいて楽しいって。
信じられない!!
「潮江さん騙されてるよ、ゼッタイ!」
「・・・そう、かな?」
「絶対そう!」


 「いい加減にしろ」
慌てて後ろを振り返ると、トレーに水とプリンを乗せた兄が、私を見下ろしていた。
「お前はそろそろ部屋に戻れ」
荷物を押しつけられ、部屋の外にひょいっとつまみ出される。
扉を閉める時の兄の顔は勝ち誇っていた。
私と潮江さんの会話、外で聞いてたな・・・!
あの顔・・・!ちょー悔しい!


 私は自分の部屋に入ると、荷物を放り出してベッドにうつ伏せになる。
兄への逆襲の方法を考える頭の片隅で、兄の想いが少しは報われていることを嬉しく思った。
いつか、その想いがちゃんと潮江さんに届けばいい、なんて。
でも、まだまだ兄の邪魔はやめられない。
だって、私も潮江さんが好きなんだもん。






2009/11/07//もらったよ!